民泊を複数棟運営していると、必ずぶつかる悩みがあります。
宿泊者名簿(法律で義務付けられている本人確認情報)を、なかなか入力してくれないゲストがいる……!
督促のメッセージを送っても反応がない。結局チェックイン当日にこちらから個別に連絡して、やっと入力してもらう。これが積み重なると、地味に運営工数を圧迫しますし、ストレスです。
今回、PIRIKA BASEで運営しているBeds24環境で、「宿泊者名簿を入力した人にしか、鍵の暗証番号を渡さない」仕組みを、追加の外部ツールを一切使わずBeds24標準機能だけで組んだので、その設計をまとめておきます。同じ悩みを持つBeds24ユーザーの参考になれば幸いです。
使ったもの
- Beds24(サイトコントローラー / PMS)
- co-reception社の新・宿泊者名簿サービス(Beds24と連携し、名簿URL・ワンタイムパスワードが予約ごとに自動発行される)
- Beds24標準のAuto Actions(オートアクション)機能のみ。Make.comやZapierのような外部自動化ツールは不要
追加費用は、新・宿泊者名簿サービスの月額利用料(1施設あたり月額1,650円程度)のみで、それ以上のコストはかかっていません。

仕組みの核:「GUESTDONE」というInfoコード
新・宿泊者名簿サービスと連携すると、予約ごとに以下のInfoコードが自動で付与(または連携)されます。
- ゲストが名簿入力用のリンク・ワンタイムパスワードを受け取るための情報コード(メール文面に差し込んで、名簿入力ページへ誘導するためのもの)
- ゲストが宿泊人数分すべての入力を完了すると、予約に自動的に付与されるコード(以下、便宜上「入力完了コード」と呼びます)
このコードの有無を条件にして、Beds24のAuto Actionsを2系統に分けるのがポイントです。
Auto Actionsを条件で分岐させる
Beds24のAuto Actionsは、トリガー条件の1つに「Booking Info Codeの有無」を指定できます。これを使い、同じタイミング(例:チェックイン3日前)に対して、2つのアクションを用意します。

アクションA:鍵送信用
Info Code= 入力完了コード(GUESTDONEなど)※入力を完了した予約のみ対象- 送る内容:チェックインに必要な鍵の暗証番号・Wi-Fi情報
アクションB:督促用
Info Code Excludes= 入力完了コード(GUESTDONEなど)※入力がまだの予約のみ対象- 送る内容:「まだ名簿入力が確認できていません。ご登録いただけないと鍵情報をお送りできません」という督促メール
設定するのはこの2つの条件だけです。GUESTDONE的なコードが付いていれば鍵情報、付いていなければ督促、というシンプルな二択がAuto Actionsだけで自動化できます。
タイムウィンドウの落とし穴
ここで1つ、実装時に見落としがちな注意点があります。

Auto Actionsの「トリガー時間」と「タイムウィンドウ」は、トリガー時間 〜(トリガー時間+タイムウィンドウ)という期間だけ条件判定を行い、その期間を過ぎると二度と発火しません。
たとえば「チェックイン3日前」を起点に、タイムウィンドウを3日に設定すると、判定期間は「3日前〜チェックイン当日」で終わってしまいます。もしゲストがチェックイン当日ギリギリに名簿を入力した場合、その時点でこのアクションはすでに時間切れになっており、永久に鍵情報が届かないという事故が起きます。
対策はシンプルで、タイムウィンドウをチェックイン日より後まで延ばすことです。私たちの運用では「3日前〜3日後(タイムウィンドウ6日)」にして、多少入力が遅れても取りこぼさないようにしています。
ページも「渡していい情報」と「渡してはいけない情報」で分割する
もう1つ重要なのが、チェックインガイドのページ設計です。
最初は「住所・地図・周辺情報・鍵の暗証番号・Wi-Fi」を全部1つのページにまとめていました。しかしこれをまるごとGUESTDONE限定にしてしまうと、名簿未入力のゲストは地図すら見られない状態になり、道に迷う・当日の問い合わせが増えるといった副作用が出ます。
そこで、ページを2つに分割しました。
- 建物共通のアクセス案内ページ(住所・地図・駅からのルート・チェックイン時間・緊急連絡先・ハウスルール・周辺情報)→ 予約確定時、全員に無条件で送信
- 鍵・Wi-Fi専用ページ(暗証番号・Wi-Fi情報のみ)→ 名簿入力完了後のみ送信
「セキュリティ的に本当に隠す必要があるのは何か」を切り分けると、実は隠すべきは鍵の暗証番号くらいで、住所や周辺情報を隠す意味はほとんどありません。むしろ早めに渡した方がゲスト体験は良くなります。
1棟に複数の部屋(ユニット)がある場合
1つの建物に複数の部屋番号がある物件では、部屋ごとに暗証番号やフロアが異なるため、鍵情報ページは部屋ごとに個別に用意する必要があります。一方で、アクセス案内(住所・地図など)は建物単位で共通なので、1ページを使い回せます。
また、Beds24には「ユニット名」という、部屋(ユニット)ごとにカスタムテキストを持たせられる機能があり、[UNITNAME1:1]のような変数で予約確認メールなどに差し込めます。フロア情報のような「隠す必要のない部屋固有の情報」はここに載せて、全部屋共通のメール文面から自動で呼び出す、という使い方をしています。
前日リマインドは、あえて全員共通にした
チェックイン当日が近づいた時点でのリマインドメールについては、あえてGUESTDONEでの出し分けをやめ、全員に同じ内容を送る設計にしました。
内容は「チェックイン日時・チェックアウト日時のご案内」+「名簿未登録の場合は鍵情報を送れないので登録してください」という一文です。暗証番号そのものは書かれていないため、登録済みのゲストが読んでも実害はなく、未登録のゲストには最後の後押しになります。1本のメールで両方のニーズをカバーできるので、無理に条件分岐させる必要がありませんでした。
すべてを自動化・条件分岐させようとするのではなく、「分ける意味があるところだけ分ける」というのが、結果的に一番シンプルな設計になった気がします。
まとめ:導入前チェックリスト
同じ仕組みを作る方向けに、確認しておくべきポイントをチェックリストにしておきます。
- Beds24と連携した宿泊者名簿サービスを導入済み(入力完了を示すInfoコードが自動付与されるか確認)
- 鍵送信用アクション:
「任意の予約Infoコード」= 入力完了コード(GUESTDONEなど)を条件に設定 - 督促用アクション:
「予約のInfoコードで除外する」= 入力完了コード(GUESTDONEなど)を条件に設定 - タイムウィンドウを、チェックイン当日より後まで延ばしてある(当日ギリギリの入力を取りこぼさないため)
- チェックインガイドを「隠すべき情報(鍵・Wi-Fi)」と「先に渡していい情報(住所・地図・周辺情報)」でページを分けてある
- 複数ユニット物件は、部屋固有の情報(フロアなど)をユニット名等で管理し、共通の文面から呼び出せるようにしてある
- 前日リマインドのような「全員に送っても実害のない内容」まで無理に条件分岐させていないか、一度見直す
外部の自動化ツールに頼らず、Beds24とco-reception社の新・宿泊者名簿だけで完結できたのは、想定より手軽でした。同じ課題を抱えている運営者の方の参考になれば幸いです。
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